北海道国立大学機構(小樽商科大学・帯広畜産大学・北見工業大学の3大学で構成)が、電通北海道および電通と包括連携協定を締結しました。3大学の研究知見と電通グループの構想力・クリエイティビティを掛け合わせ、地域課題の解決と研究成果の社会実装を中長期で推進するとしています。
産学連携でパートナーに求めるものといえば、普通は技術か資金です。この協定が迎えたのは、そのどちらでもありません。伝え方と巻き込み方の専門家です。
研究成果が社会に届かない理由は、技術が未熟だからとは限りません。誰に向けた話なのかが整理されていない、関係者を巻き込む筋道がない、事業として語る言葉がない——そうした理由で止まることのほうが多い。認知形成や事業化ストーリーの設計は、そもそも研究者が本来訓練を受けていない領域です。
もうひとつ、主語が単一の大学ではなく「大学機構」である点も見ておきたいところです。小樽商科・帯広畜産・北見工業という専門領域の異なる3大学が束ねられているため、地域課題のように分野横断の相手を探している場合には、個別の大学に当たるより入口として効率的です。統合法人化した大学群は各地に増えており、この機構=窓口の使い方は相談を持ち込む企業が覚えておく価値があります。
広告会社側の動機も読んでおきたいところです。地域課題の解決を事業にするには、課題の実態を把握する調査能力と、施策の効果を検証する枠組みが要ります。双方が相手の欠けている機能を補い合う構図になっており、どちらかが一方的に支援する関係ではありません。産学連携の提案を通すときは、この対称性を説明できるかどうかが効いてきます。
機構側の動機は、発表の場でかなり率直に語られています。長谷山彰理事長は「黙っていて学生が集まる時代じゃない」と述べ、狙いとして全国的な知名度の向上と志願者増を挙げました。会見では機構の略称を「北学機構」とすること、新しいロゴマークも同時に発表されています。研究成果の社会実装と並んで、大学そのもののブランディングが目的に入っている。 協定の内容には、学生インターンシップの受け入れ、教職員と企業人材の相互交流、出前講義も含まれます。広く産学によるコラボレーションのあり方として参考になる事例と言えるでしょう。
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